そろそろ冬の気配を感じるこの頃。
もこもこのセーターや、暖かくて肌触りの良いコートやストールなどの
温かい毛織物のアイテムが欲しくなる季節ですね。
着慣れたウールもいいけれど、思い切ってカシミヤやモヘアなんかもアリかも!
なんて思ってはみたけど、似たようなイメージで何が違うのかいまいち分からない……
あの毛織物がどんな動物から取れる素材で出来ているか知っていると、
新しい秋冬アイテムを買う際の参考にできちゃう…かも?!
ご存知、羊毛「ウール」
原産地:モンゴル~地中海のあたり
現在の主な生産地:オーストラリア
わたし達に馴染みのあるウールはヒツジの毛を原料としています。
動物から取れる繊維はたくさんの種類がありますが、一番よく使われている獣毛素材です。
一口にウールと言っても、羊の品種や毛の質、織り方によって着心地や光沢、機能性などは様々。
マフラー、コート、セーター、ストール、スーツなどの衣服から、カーペットやカーテンまで幅広く使われています。
そのウールの中でも、メリノ種と呼ばれるヒツジから取れる「メリノウール」は最も上質と言われ人気があります。
「ワンランク上の毛織物を試してみたい」というときには、メリノウールを探してみましょう!
今わたし達が目にするヒツジは、モンゴルからインド、西アジア、地中海にかけて分布していた4種の異った野生のヒツジがルーツと言われており、現在では広い牧草地を有するオーストラリアでの飼育が盛んです
メリノ種の原産国はスペインやフランスで、オーストラリア産のものと区別して「スパニッシュメリノ」「フレンチメリノ」といった名称で扱われています。
カシミヤ
原産地:中国、モンゴル、イラン北部
現在の主な生産地:中国(内モンゴル自治区)
高級な毛織物といえば、やっぱり「カシミヤ」が思い浮かぶ人も多いハズ。
ウールにはない独特の肌に吸い付くようなしっとりとした肌触り。
とても軽くて保温性に優れているためニットやマフラーによく使われています。
年間の気温差が激しい山岳地帯に暮らすカシミヤヤギから採れる動物繊維で、
美しく整った風合いと光沢感のある素材であるため「繊維の宝石」とも呼ばれています。
カシミヤヤギの毛は2層に別れており、表面の太く粗い毛の下には、厳しい冬の寒さを乗り越えるための細く柔らかな産毛が生えています。毛が生え変わる春を待ち、この産毛のみを手作業で採取。
1年間で採取できる産毛の量は100g以下と非常に少ないため、
その希少性もあり高級素材として扱われています。
産地や品種によって生地のランクも異なりますが、
その中でも内モンゴルのカシミヤは特に高品質で知られています。
モヘア(アンゴラヤギ)
原産地:トルコ
現在の主な生産地:トルコ、南アフリカ、アメリカ(テキサス州)
トルコのアンカラ地方が原産のアンゴラヤギから採れる「モヘア」。
モヘアは毛足が長く細くて縮れのない、ふわふわした繊維が特徴で、
シルクのようなつややかな光沢感があるため女性に人気のアイテムです。
綿以上の吸湿性を誇るため秋冬用のアイテムだけでなく、春夏用のニットやスーツの素材としても用いられます。
肌触りが良く、チクチクしないのも人気のポイント。
他の獣毛素材よりやや耐久性が低く、繊細で痛みやすい素材であるため、
毛織物の扱いに慣れてきた方におすすめの素材です。
通常の毛刈りは春と秋の2回行われますが、トルコは年に1回のみ。
そのため、トルコ産のモヘアは特に高品質です。
服を買う際はどの国で採られたものかもチェックすると楽しいかもしれませんね。
アルパカ
原産国:アンデス山地
現在の主な生産地:ペルー南部、ボリビア、アルゼンチン
カシミヤと並ぶ高級獣毛の「アルパカ」は、世界でも流通量が少ないため、貴重な素材です。
南米アンデスの高原地帯で暮らすアルパカたちは、摂氏20℃~マイナス20℃という昼夜の寒暖差40℃近くにもなる過酷な環境で過ごすため、温度調節に優れた毛を持っています。
毛の1本1本がストローのような空洞になっており、中に温かい空気を溜め込みます。
そのため、高い防寒性能をもちつつ、吸湿性が高く乾きやすいく蒸れにくいまさに高山で生きるための毛皮を持っています。
弾力はあるけれど、チクチクしない、しっとりとしたシルキーな肌触り。
耐久性に優れて手入れもしやすいので高級獣毛の中では比較的取り扱いやすい素材です。
キャメル
原産国:イラン、中央アジア、中国北部
現在の主な生産地:中国、モンゴル、ロシア、イラン、アフガニスタン、オーストラリア、ニュージーランド
フタコブラクダの毛から出来る「キャメル」。
自然に抜け落ちる冬毛を集め、外側の硬い毛を取り除き、「アンダーコート」と呼ばれる内側の産毛だけを使います。
コシのある繊維は弾力があり保温性に優れ、コートやジャケットにぴったり。
吸湿力、放湿力にも優れているので、暖かくて蒸れないと肌着としても人気です。
キャメルは染色に向いていないため、ブラウン、ベージュ、クリーム色といった素材そのままの「キャメル色」を活かしたアイテムが作られています。
キャメル=茶色というイメージが強いため、「キャメル」と表示してあっても、キャメル素材ではなく単に色を指していることもあるため注意が必要です。
厳しい環境を生き抜くための大切な毛を分けてもらって作られる毛織物。
きちんとお手入れして長く大切に着たいものです。
寒~い冬は、ぽっかぽかの温かい獣毛素材の服を着て、彼らに会いに山岳地帯まで行くのもいいかもしれませんね!
その際は、ぜひ海外旅行保険もお忘れなく!