今、旅行者の間で被害が急増中のトコジラミ。
海外旅行の荷物にくっついて移動して、あちこち刺されるらしい…
と、ふんわりとしたイメージの方も多いハズ。
そもそもトコジラミってどんな虫?どんな被害があるの?
滞在先で被害に遭ってしまったり、家まで持ち帰ってしまわないように
気をつけるべきポイントを押さえておきましょう!
虫の生態を知ることで防げる被害もありますよ。
トコジラミとは?
南京虫(ナンキンムシ)とも呼ばれるトコジラミ。
成虫は4~8mmほどのサイズで、「シラミ」と名前がついていますがカメムシの仲間です。潰すと独特のいやな臭いがあります。
シラミのように人や動物の血を吸うのでこの名前がつきました。
蚊のようにメスだけでなく、オスや生まれたての幼虫も吸血します。
空腹時は平べったい茶褐色ですが、体重の3~6倍も血を吸うため、吸血後は膨れ上がり色も濃くなります。
ヒトはもちろん、イヌやネコ、ウサギ、鳥などのペットも被害に遭います。
トコジラミが厄介な点は、薬剤が効きにくく、寿命が長く繁殖力も強いこと。
1年以上飲まず食わずでも生きられます。
刺されるとどうなるの?
刺される瞬間はさほど痛みはありませんが、吸血する際に血液の凝固を防ぐために注入される唾液がアレルギー反応を引き起こしてしまいます。
刺されると赤い発疹ができ、夜も眠れないほどの痒みに襲われます。
あまりの痒さで皮膚をかき壊したり、化膿してしまったり、不眠になってしまうなど、二次的な被害で生活に支障をきたす恐れがあります。
刺されてしまった場合は、抗ヒスタミン薬に分類されるクリームや軟膏が有効です。
これまでトコジラミに刺されたことのない人はこのアレルギー反応が出ませんので、
刺されても無症状のままの人もいます。
このタイムラグで被害の発見が遅れてしまう場合も。
今のところ、蚊のように特定の感染症を媒介するといった報告はないようです。
トコジラミはどこに潜んでいる?
平たい体をしてるので、家具の内部や床との隙間、ソファ、カーペット、カーテン、ダンボールの隙間などあらゆる隙間に潜り込みます。
特にベッドや布団の近くに潜んでいる場合が多く、日中は狭くて暗い隙間でじっとしています。
夜暗くなると動き出し、寝ている人に取り付いて口吻(こうふん)を突き刺して血を吸います。
服の中にまで潜り込むことはほとんどなく、顔や腕などの肌の露出している場所が狙われます。
10~20分ほど吸血した後はぽろりと落ちて再び隙間に隠れるので、直接見つけるのが難しい虫です。
吸った血の多くは血が混ざった「血糞(けっぷん)」として排出されます。
この血糞は潜伏する場所の入口によくあるため、マットレスや壁、床などに1~2mmのほどの赤黒いポツポツとしたシミを作ります。
これを見つけたら要注意!
ホテルで取り付いてくるトコジラミ
トコジラミは羽根が退化しているので、自力で長距離移動することはできません。
旅行者のバッグやスーツケースなどの荷物に潜り込んだり、
粘着性のある卵や幼虫が付着することで世界中へ運ばれ、その分布範囲を広げています。
ようやくたどり着いたホテル、すぐにでも荷物を床に放り投げてベッドに飛び込みたいところですが、
こんなタイミングでトコジラミは近づいてきます。
・バッグをカーペットの上においた際に産卵される
・ベッドやソファに座ったときに服に潜り込まれる
・壁のコート掛けやハンガーにかけた上着や帽子に入り込む
トコジラミはツルツルしたガラス面や陶器、プラスチック、ビニールなどには登ることができないので、滑らかな足つきの台の上や、バスタブの中に荷物を置くと被害を防げます。
安宿だけでなくグレードの高いホテルにも潜んでいる場合があります。
もし虫や抜け殻、血糞などを見つけた場合は部屋を変えてもらうようホテルスタッフに相談してみましょう。
どんな薬が効く?
現在のトコジラミの多くは薬剤に対する抵抗性を持つ「スーパー・トコジラミ」であると言われており、一般的な家庭用ピレスロイド系殺虫剤は効果ありません。
有効成分がプロポクスルまたはメトキサジアゾンの殺虫剤は効果があると言われています。
また、有効成分「ディート」を含んだ虫除けスプレーは肌に塗ってから数時間は吸血を防ぐことが出来ます。塗りムラが出来ないように注意し、こまめに塗り直しましょう。
服や荷物についているのを見つけたら
熱湯や高温の蒸気にさらす、トコジラミ用の殺虫剤を使用する、ガムテープで包んで密封するなどの方法があります。
衣類に着いたトコジラミは洗濯のみで駆除するのは難しく、熱湯につけたり、乾燥機にかけると有効的です。
目安としては50℃で30分、60℃で10分、100℃近くで数秒程度です。
また、隠れ場所になりそうな荷物を整理整頓して、隙間を塞いでしまいましょう。
死骸を掃除機で吸い取る場合、まだ生きている可能性もありますので、すぐに取り出しビニール袋などに密閉して捨ててください。
家に持ち帰ってしまった!?
旅行中どんなに気をつけていても、家まで持ち帰ってしまう可能性があります。
家に帰った際は衣類はすぐに洗濯し、高温になる乾燥機にかけましょう。
洗うことができないバッグや靴などの荷物はすぐにしまわず、
数日間プラスチックの衣装ケースや厚手のビニール袋などに入れて様子を見てみましょう。潜んでいたトコジラミが這い出してくる場合があります。
それでも家の中で繁殖してしまった場合、増えてしまう前に駆除業者に連絡しましょう。
旅先ではひどい虫さされに悩まされたり、虫が媒介する病気に感染してしまうことも少なくありません。
現地の病院にかかり、想定外の出費となってしまうことも。
海外旅行保険の内容をチェックしておきましょう!